格闘技や野球、ゴルフなど様々なスポーツで必要とされている「握力」ですが、腕立て伏せにおける握力の重要性はどの程度あるのでしょうか?
握力と腕立て伏せの関係
「腕立て伏せ」と「握力」は異なる筋肉群を鍛えるため、直接的な相関関係があるわけではありませんが間接的な関係として次のポイントが挙げられます。
腕立て伏せでは上腕三頭筋、大胸筋、三角筋を主に鍛えますが、身体を安定させるためのスタビライゼーションの役割として前腕筋群もわずかですが使われます。
握力に影響を与える筋肉は前腕の筋群(特に指の屈筋)になります。
また高度なテクニックの部類になりますが、腕立て伏せを高速スピードで行うために上昇フェーズ時の肘のロックアウトのタイミングで、スピードを相殺し下降フェーズへと高速動作で切り返しするために「床を10本の指で掴む」必要がありその際にも前腕筋は使われます。
握力計の数値が高いと腕立て伏せの回数は増える?
前項で解説した通り、握力は、前腕屈筋(特に浅指屈筋、深指屈筋)と、手の指や手首を動かす筋肉であり、握力と腕立て伏せは異なる筋肉を利用するため、握力の記録がそのまま腕立て伏せの回数増加に繋がることはありません。
瞬発力と持久力の違い
握力計の数値は「力」を短期間で発揮する能力つまり瞬発力の測定器として使われています。腕立て伏せの回数を増やすためには、パワーだけでなく長時間にわたって同じ動作を繰り返す筋持久力が必要です。よって握力が強くても筋持久力が低い人は、腕立て伏せの回数は増えないということです。
運動全体の力伝達と安定性
Grip Strengthの専門的なトレーニングをしている人以外で握力が強い人は、高重量のバーベルやダンベルなどの器具を握って持つ種目で握力の筋力を付けているので、握力が強い人は腕立て伏せに必要な上半身の筋力も比較的高い傾向にあるので、間接的であるにせよ腕立て伏せの回数も増える可能性は高いです。
握力向上も目的とした腕立て伏せのトレーニング方法
1. フィンガープッシュアップ(指立て腕立て伏せ)
握力向上のトレーニング方法:
5本の指先を立てた状態での腕立て伏せです。指にかかる負荷が大きく、前腕や手指の筋力を鍛えることができます。
握力強化やり方:
床にうつ伏せになり、指先で体を支えます。慣れない場合は、膝をついた状態で始めてもOK
通常の腕立て伏せのように体を上下させますが、指先でバランスを取りながら行います。
回数の目安:
自重×オールアウト×3セットを目標にしましょう。
2. ナックルプッシュアップ(拳立て腕立て伏せ)
握力向上のトレーニング方法:
拳を握って体を支えることで、握力を使いながら腕立て伏せを行います。拳を握る力が必要で、前腕の筋力向上の効果があります。
握力強化やり方:
拳を握り、拳の平らな部分を床につけて腕立て伏せの体勢を取ります。拳を握ったまま体を上下に動かし、腕立て伏せを行います。指先ほど難易度は高くないのでフルレンジモーションの可動域で胸が床につくまで下げましょう。
回数の目安:
初心者は15〜20回を1セットとし、3セットを目標にしましょう。
3. クローズグリップ・プッシュアップ(狭い手幅の腕立て伏せ)
握力向上のトレーニング方法:
手幅を肩幅よりも狭いナローもしくはダイヤモンド型にすることで、前腕や手指にかかる負荷が増し、ノーマル・プッシュアップよりも握力の強化になります。
握力強化やり方:
手を胸の真下に近づけ、親指と人差し指が三角形を作るように手を置きそのまま体を上下させ、腕立て伏せを行います。手に胸がつくまで下げると効果は倍増します。
回数の目安:
10〜15回を1セットとし、3セットを目標にしましょう。
4. プッシュアップ・グリップ
握力強化目的であればフロアで行う腕立て伏せよりも握る動作が加わる「プッシュアップバー」を使った腕立て伏せの方が効果があります。
握力向上のトレーニング方法:
プッシュアップバーのグリップを握り続けるため、前腕に負荷がかかり、握力が鍛えられます。
握力強化やり方:
プッシュアップバーを両手に持ち、腕立て伏せの体勢を取ります。器具をしっかりと握りながら体を上下させ、通常の腕立て伏せを行います。フルレンジ・プッシュアップで行うことでしっかり筋肉も強化出来ます。
回数の目安:
15〜20回を1セットとし、3セットを目標にしましょう。
腕立て伏せと握力の両方のレベルを向上させたい場合、通常の腕立て伏せに加えて以下のエクササイズも取り入れると効果的です。
ぶら下がり(鉄棒に限界までぶら下がる)
メニュー:自重×オールアウト×3セット
自重を用いた「ぶら下がり」エクササイズはシンプルな運動ですが、握力向上にとても有効であり手指、前腕筋群に強いアイソメトリック&エキセントリックな負荷が加わるトレーニングなので握力向上に非常に効果的なトレーニングとなります。
私も自宅にぶら下がり用の棒があり、腕立て伏せのウォームアップ時やインターバル中などにぶら下がるようにしています。
またぶら下がり運動は、握力強化だけでなく姿勢改善やストレッチ効果もあるので腕立て伏せのフォーム改善やパフォーマンスアップにも効果がありおすすめします。
ぶらさがりの上級版である「懸垂」も腕立て伏せの補助ワークアウトとしてオススメです。
「懸垂」の回数と腕立て伏せの回数も比例こそしませんが、トレーニング頻度と強度を間違えなければ腕立て伏せのパフォーマンスを上げる効果を見込めます。
理由は↓
❶「引く」動作と「押す」動作の違いで拮抗筋を鍛えられるので主動筋の力を最大限発揮できるようになる
❷懸垂は腕立て伏せ以上の自重が全身にかかり、特に体の揺れを抑えるため体幹コアが強くなり、腕立て伏せでも安定して体を支えやすくなるのでフォームが安定する
他にも、ハンドグリッパーでのトレーニング、バーベルやダンベルのホールド(静止保持)、ファーマーズウォークなどの鍛え方があります。
握力と腕立て伏せの関係において、トレーニングの種類と頻度に注意が必要
握力を鍛えるトレーニングと、腕立て伏せのトレーニングを並行して行っている場合に重要なのは、握力を優先的に鍛えすぎないことです。(腕立て伏せの優先順位が高い場合)
前腕の筋肉が発達し、腕立て伏せのフォームを維持しやすくなるメリットもありますが、回数を増やす直接的な関係はなく、逆に前腕の疲労で上腕全体のパフォーマンス低下に繋がり回数減少の原因になります。
腕立て伏せ自体は握力を直接鍛える運動ではありませんが、やり過ぎに気を付けトレーニングメニューを工夫することで前腕や手指に刺激を与え、腕立て伏せのスピード能力強化を中心にパフォーマンス向上に大いに役立つでしょう。
💪最後に握力(ポパイ)の超人を目指した筆者の筋トレパフォーマンスの歴史を紹介
握力伝説<握力は体重56㎏で握力計MAX数値70㎏、2本指壁逆立ち(人差し指+親指)成功、ヨガのポーズ達人座(シッダーサナ)で2本指(人差し指+親指)だけで身体を浮かすことに成功(空中浮遊の時間30秒)、片手リンゴ握り潰し、20㎏加重で懸垂連続10回など>
~握力計の数値にまつわるデータ紹介~
握力の世界記録 192㎏
握力の日本記録 130㎏
世界の握力の平均値 男性平均30-34:50.3kg 女性平均35-39:30.6kg
日本人の握力平均値 男性平均35-39歳:47.64kg 女性平均45-49歳:29.21kg
※平均値は最も高い数値の年代を表示
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